わたしがいたばしょ

まだ小さい手
赤くかじかんで寒そうだから
手をつないで おうちへかえろう


ねえちょっとだけ頭の片隅をかすめるくらい
それくらいのそんざいだろうけど
覚えていると嬉しいな
わたしがいたこと


つたなく発する「あいらぶゆー」
あのとき そういってくれたこと
それがなにより大事なの


抱きしめたこと キスをしたこと
ぜんぶぜんぶ日々に埋もれてく
それでも、覚えているかな
わたしがいたこと


わたしの呼吸と きみの呼吸
とけた時間がいとおしい
一瞬のように わたしはおとなになって
切ない気持ちに潰される
きみにはまだ早いから
いまを笑っていてくれないかな
北風小僧がやってきて
また長い冬のはじまり
雪はふるかな


あの小さな手
赤くかじかんでも気にせずに
きっと元気に 手を振っている


だいじょうぶ、元気だよ